負けられない理由

今日はこれからホームで福岡戦。昇格争いに踏み留まる為に、マルコスへの最後の手土産の為に絶対に勝たねばならない。


それ以外にもう1つ、私にとっては福岡には負けられない理由があります。


9年前の昔話です。95年5月14日。宮城県サッカー場ブランメル仙台JFL昇格後初めて県内でのホームゲームを迎えました。


その時の相手は福岡ブルックス。当時高校生だった私は同級生2人とこの試合に足を運びました。
「仙台」という名前を背負っているチームを見てみようか、というごく軽いノリでした。


会場に着くとみんな芝生の上にシートを敷いてすっかりマターリムード。
宮城球場の外野席でお馴染みのあの風景の中にバックスタンドの中央に10人いるかいないかの小さな集団があった。
太鼓を抱えてメガホンらしきものも見えた。

「これがサポーターってやつか?」

Jリーグの試合でスタンドで楽しそうにフェイスペイティング(古!)や旗を振ったりして応援するあれか?
ただ黙って芝に腰掛けるよりこっちの方が楽しそうだ。飛び込みで輪の中に混ぜてもらった。


試合は1−5で大敗だった。当時の福岡はウーゴ・マラドーナトログリオ、永井兄弟など、錚々たる顔ぶれで
それに違わぬ強さだった。地域リーグから上がったばかりの仙台が太刀打ち出来る相手では無かった。
J昇格など夢のまた夢であることはサッカーを知らないど素人の目にも明らかだった。



試合中は「サポーターらしき」輪の中で見よう見まねで声を張り上げるのは初めての体験で楽しかったけど
それ以上に負けた悔しさが遥かに大きかった。
普通ならここであまりの弱さに足が遠のくだろうし、実際にその後の市民の反応は冷たい限りだった。


が、私は違った。このクソ弱いチームの頼りなさが何だかとても可愛らしく思えた。

強くなるまで応援しよう


そう心に決めて、その後大学生になってある程度自由になる時間を得た私は
合コンとかいう学生らしい爽やかなイベントがあっても
試合があればすべて投げ打って
全国どこへでも駆けつける「偏屈者」への道をひた走った。
成人式の酒の席ではブランメルを罵った同級生(サッカー観戦歴無し)と殴り合い掴み合いの大乱闘を演じたこともあった。
若気の至りというにはあまりにもお粗末だが、「食わず嫌い」で仙台をこき下ろす輩は絶対に許せなかった。
仙台の応援は私の生涯活動になっていた。



あの試合を見なかったら確実に違う人生を歩んだろうけど、応援の中で出会った多くの人脈にも辿り着けなかった。後悔は無い。


そして今日はホームの福岡戦。福岡が仙台で試合をするのはあの95年以来*1です。
私にとってはサポーターとして初めて受けた傷を癒すチャンスが9年ぶりに巡ってきた。
ここで積年の恨みを晴らせてようやくサポーターとして本当のスタートラインに立てる気がする。燃えずにはいられない。


あれから9年が過ぎてチームを取り巻く環境も、選手も変わった。何より多くの市民がこのチームに期待を掛けるようになった。


ましてや今日は仙台の一時代を支えた大黒柱との別れの儀式の日。いつも以上に荘厳な雰囲気が聖地を包み込む。


今日はきっとタダでは終わらない。何かが起こる。


あの時では決して味わえなかった会場の一体感と、変わらない情熱を込めて選手の力になりたい。ただそれだけです。


マルコスの為に、自分の為に絶対に負けられない!!!

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いやぁ〜〜記憶に残るシーンの連続でしたねぇ。


試合前にはサスケ氏が乱入して、ハーフタイムには私のすぐ近くでサポーター同士の小競り合いも勃発!!!
火災報知器の誤作動。(これは後半始まってからスーパービジョンで告知されて初めて気付いた)
試合後にはゴール裏から入場時に配られた団扇が2つ投げ込まれる始末。
(放り投げる程酷い試合だったかな?それとも暑いから選手にこれで扇げという親切心か??)
私はすぐに帰ったので見られなかったが、スカパーの解説で来ていた福永がスタジアム前の広場に現れて盛り上がったらしいし。


もうお腹一杯です。


生観戦ならではの色々予期せぬイベントがあって実に楽しかった。間違い無く私の記憶の片隅に留められるでしょう。


え?試合?応援に夢中であんまり良く覚えて無いっス(笑)。でも負けなかったでしょ?
特別な空気を醸し出す時は負けないっていう最低限の決まりは死守したってことで勘弁して下さい・・・


マルコスの最後のメッセージもしっかりと心に刻み付けましたよ。
最後ついでに私は来週平塚には行かないのでガスパルを生で見るのは今日限りになりました。
短い間だったけどチームの為に懸命に戦ってくれたことに敬意を表す意味で「ありがとう」と言いたいです。


水戸戦で2ゴール決めて嬉しそうにインタビューに答えていた表情と、
ボールタッチする度に湧き上がる悲鳴もまた貴重な記憶として取っておくことにします。

*1:01年ナビスコ杯で対戦はしているが、私の中ではナビ杯は有料の練習試合という位置付けなのでここではノーカウント