牛丼狂想曲

吉野家が大打撃を受けて牛丼が風前の灯となった今、いつ再開されるかも分からないあの味を舌に刻み込もうと
生涯最後かもしれない牛丼を食そうと思い立つ。
店内に入ると人が多い!!!行列が出来てるよ!たかが牛丼を食うだけなのに!!安い、早いが売りの店に有るまじき光景。
皆様、牛丼君との別れが名残惜しい様子。
ようやく着席し、出された丼を見ると妙に肉が少ない。
本来なら美味しんぼ海原雄山の如く器を叩きつけ、「女将を呼べぇぇぇい!!!」と暴れ狂う場面だが、
事情が事情だけに文句は言えない。私もそこまで鬼じゃない。
280円の庶民の味が今は犯されざる宝のように感じ、箸を持つ手も力が入る・・・
恐る恐る口に運ぶと、いつもと変わらぬ馴染みの味。
幾度と無く当たり前のように流し込んできたこの一杯の尊さを噛み締めながら粛々と完食。
この柔らかく煮込まれたバラ肉と、そこに絡む甘辛いタレが米と出会い、日本人の胃袋も財布も大いに満足させてきた
この味がもうすぐ消えて無くなるとは・・・なんか泣けてくる。


私は狂牛病の煽りを受けて死んでもいい。いつもの味をいつでも食べられる小さな幸せを感じていたい。米国産牛肉に光あれ!!