東北高校戦没

あ〜あ、負けちゃった。
普通なら負けると悔しさや寂しさを感じるのに
今回はそんな気になれなかった。負けた気がしない。
期待が大きかった分負けた反動も大きいみたいだ。


この試合のダルビッシュは雨のせいか、本調子とはほど遠い内容。
それでも8回まで我慢強く無失点で抑えたのはさすが。
とはいえ、9回には限界に達してたのは誰の目にも明らかだったのに、
若生監督はダルを交代させなかった。


これを采配ミスと言えばその通りだけど、私は何故か責める気にはなれない。


それほどダルに対する信頼が厚い証明だし、今までもそうやって勝って来たチームであって
今回はそれが裏目に出ただけだと思う。


多分、喪黒福蔵監督は優しいお人なのだと思う。
その温情が幾多の名選手を育ててきたと同時に甲子園で勝ちにこだわる非情なまでの采配が出来なくさせている。
それが若生正広という人間なのだから仕方が無い。
今後も甲子園で全国制覇を目指すには「監督としては」ハッキリ言って不適格でしょう。


選手育成と勝利至上主義。どちらがより大事なのかは難しいところだけど。


むしろ敗因は相手左腕の松本から1点しか取れなかった打線。
快勝した1.2回線でも2番手で出てきた左投手に
完全に抑えられたことに不安を感じていたが、見事に的中してしまった。
苦手意識を最後まで引きずってしまった。


もうひとつ密かに不安に感じたことを挙げると、このチームは予選を余りに盤石に勝ち上がったために
接戦に持ち込まれたらあっさりと逝くのでは、と危惧していた。
で、案の定の結果に。


9回の痛恨のエラーも競り試合に慣れていないために
生まれた焦りがそうさせたのではないか、と。


確かに今年の東北は強かった。宮城に敵はいなかった。
が、それが逆に接戦をモノにする勝負強さを身に付ける妨げになった。
プレッシャーのかかる甲子園の舞台でいつもの力が出せなかった。
結局は井の中の蛙、裸の王様だったということです。


全国で上に進むにはただ投げる、打つの能力だけじゃなくて
ギリギリの局面で普段通りの力を発揮出来る精神力が必要なことを改めて感じた。
そのためには県予選からしのぎを削るライバルとの切磋琢磨が不可欠。
大阪や神奈川の代表がコンスタントに強いのは、
予選の段階から多くの苦戦を経験する中で揉まれて鍛えられるからに他ならない。
残念ながら今の宮城にはその環境がない。
ヨソから有望な選手を掻き集めるだけでは骨太の強さにはならない。
身近な競争相手と競い合う経験の積み重ねによって底力はつくもの。
ベガルタにも同じことが言えると思います。


現状の「一強」に刺激や圧力を掛け続ける刺客が現れない限り宮城のレベルは上がらないし、
「白河越え」など永久に無理。
まずは足元の底上げから考えなくては。


現状では利府や富谷、新しく野球部を創設した聖和学園なんか面白そうだけど。


折りしも今日から新チームによる秋のリーグ戦が始まっています。
この中からどれだけ本命を脅かす勢力が台頭するのか、楽しみにしたいですね。


とりあえず東北の選手諸君、本当にお疲れ様でした。
色々な意味で華があって楽しいチームでしたよ。