落合博満に見る名指導者の条件

中日がセリーグ優勝しましたね。

監督の落合博満氏就任1年目でチームを優勝に導く快挙を達成しました。


恥ずかしながら私は今年のシーズン開幕前に中日の優勝は無いと予想していました。


根拠は2つありました。
監督未経験の人間がいきなり頂点を極めるほど世の中甘くはないというのが1つ。


もう1つは現役時代は三冠王2回などスポットライトに当たり続ける押しも押されぬスーパースターだったことを逆手に取って
控えの人間、立場の低い人間の気持ちの分からない者は指導者には向かないと考えていたこと。


でも、その予想は木っ端微塵に打ち砕かれた。
今日の優勝を伝える古館伊知郎がキャスターを務める某ニュース番組で今年の中日の軌跡をまとめたVTRのなかで
端々に落合監督の選手への配慮が行き届いており、それが優勝への原動力になっていたことが分かりました。


例えば開幕戦の先発にはこの2年間怪我で一度も一軍での登板の無かった川崎憲次郎を起用した。
これは川崎の復活に掛ける執念に期待してのもの。


4番には福留孝介を固定した理由としては、主砲らしくどっしり構えて安心してプレイに集中出来るように考えた策だったという。


一見セオリーを無視した無謀な采配にも見えるが、
選手一人一人の性格や特徴をじっくり観察してその個性が一番発揮出来る場面で手を打てていたと思います。


思えば、落合氏は現役時代は花形スターではあってもドラフト1位で指名された「エリート」ではなかった。
大学の「縦社会」に馴染めず一度野球から離れて(大越基と同じだな)ボウリングに明け暮れてからまた野球の世界に入って、と
「底辺」から力をつけてのし上がった苦労人だった。ただのスターでは無かったことを忘れていた。



下から這い上がって出世した経験があるから控えの選手や怪我に苦しむ選手の陰の努力を見逃さなかった。
その証拠に全70人の選手のうち、57人を一軍の試合で起用している。


隅々まで目を配って選手のヤル気と潜在能力を引き出すのが名指導者として不可欠の資質だと思います。


落合氏にはその要素を秘めた人物だったことを見抜けなかったことが情けないですよ。

そういえば清水秀彦なんかも岩本輝雄とか山田隆裕とか「猛獣」扱いはお手の物だった。
選手の個性をちゃんと理解して最大限生かそうと気を配っているんでしょうね。


仙台の現監督はそういうのあまり得意じゃないしなぁ・・・。戦術とか理論を教え込むのはやたら好きみたいだけど。


名指導者と言われる人物は、野球でもサッカーでもスター街道をひた走った人より
現役時代大成しなかったり、怪我や控えに甘んじる時間が長く、辛い時期を多く経験しているケースが多い。


人に慕われる「人間力」はそんなところから養われるものかも知れない。
痛み、苦しみ、挫折を人一倍味わった人物は、相手の立場で物を教えることが自然と出来るのでしょう。



苦労人の象徴であるノリヲなんかは将来きっといい指導者になるでしょうね。